重音と指弓-34番から36番

重音と指弓〈34番から36番〉

今まではD線とA線を一本ずつ弾いてきました。ここまで、全音符と2分音符、4分音符、4分休符、2分休符が出てきましたが、リズムには慣れてきましたでしょうか。ここまで音の長さを理解できてきたか、30番から32番までメトロノームをかけながら楽譜を読んでいきましょう。

また、音名と指番号を早く一致させたい方は楽譜の指番号を一度消して前に練習した箇所を弾いてみると、だんだん分かっていきます。鏡を使って弓の運びや本体の持ち方を見ることにもだんだん慣れていきましょう。

34番簡単な重音練習

重音を弾くにあたり、本体がきちんと固定されていると2本の弦を均一に弾き易くなりますので、楽器本体が動かずネックが上がる位置をもう一度探しましょう。

顎の下に本体があるとネックが下がってしまいます。もしそうなっていたら少し左にずらして持つか、本体を置いた時に左に顔を向けるとネックが上がります。

また、持ち方を変えても、なおネックが下がってしまう時は肩当てにマフラーかタオルを巻きましょう。また、弦が床と平行に近い方が安定して重音を弾けるので、少し顔を左に傾けたりしながら弦の位置も見ていきましょう。

それからネックが左にいき過ぎると、駒と指板の間を弾くときに弓先が届きにくくなります。弓は、元から先を、駒と指板の間を真っ直ぐに動かしていきたいので弓元から弓先まで使いやすいようにネックを顔の前で目線に入るようにずらしましょう。鏡に映して持ち方を最後にチェックするとよいでしょう。

それでは弓をD線とA線両方に置きながら動かしましょう。元弓は単線を弾く時と同様に顔の方へ倒し、先は弓に体重が乗り、全ての毛を弦に付けることができると良いでしょう。2本の弦を同時に弾きやすい角度に右肘の高さを調整しましょう。弓を動かす時に肘の角度が固定されずに動いてしまうと2本の弦を同時に弾くことが難しくなるので注意しましょう。

また、右肩が上がっていると弓に肩全体から体重が掛かるために音がきしみやすくなります。その場でウォーキングの動きをしたり、ストレッチをまめにして、右肩の力を抜きながら進んでいきましょう。

さらに、右手の人さし指で2本の弦を両方弾いている感覚が分かってくると良いでしょう。何回か練習をして、2本の弦を均一に弾く事が出来てきましたら、A線には付かないようにD線に指を置いていきましょう。弓を入れて左手に力が入ってしまう時は移弦の練習と同様に2本の弦をピチカートしながら進んでいきましょう。それから弓を入れ、何回か練習していきましょう。

35番メリーさんの羊

はじめにピチカートをしながら指を弦に置くことに慣れてください。弦の近くで指を置いていきましょう。

2の指は1の指とセットにして置きましょう。ゼロの開放弦以外は1の指は弦に置きっぱなしにします。

34番で練習したことを同様にしながら進んでいきます。まずA線とD線を、また開放弦で弾いて感覚を確かめましょう。それから指を置きながら弾いていきましょう。指の置くタイミングと弓を動かすタイミングが合い、一つ一つの音が繋がって弾けることが理想です。
次に音程を正しく取る事に移ります。重音の場合、倍音を聞きながら指の位置を決めていきます。ピアノは平均律でヴァイオリンは純正律なのでピアノの鍵盤から一つ一つの音をとって重音を弾いても正しい音程にはなりません。

重音の音程が合うと響きが強くなりビーっという周波数が聞こえます。合っているときは倍音の音が強く、音程が合っていないときは倍音の音が弱くなります。この倍音は右手のボーイングが正しければ正しいほど良くなってきますので、2つの弦を均一に弾けるようにしていきましょう。

36番メリーさんの羊変奏曲

それでは、35番と同じ指の置き方で、D線とA線を交互に、弓で弾いていきます。ここから、右手の指の第二関節も動かす練習をしていきたいと思います。今まで、右手のボーイングは、肩を下げ、力を抜き、肘を固定し、駒と指板の間を弾く事に注意をしてきました。また、音をつなげるために、手首も柔らかくすることもしてきました。

では、音を繋げて弾く時や、早いパッセージを弾く時の腕の負担を減らす時などに使う指弓の練習もしていきましょう。移弦も、できたら指を使えると良いので少しずつ慣れていきたいと思います。

まず、右手でペンを持ってください。この時、弓を持つ手の形でペンを上に向けます。右指の第二関節だけでペンを上下だけに動かす事が出来るのが理想ですが、初めは感覚が良く分からないと思います。

右手を弓の持ち方でペンを縦にして持ち、ペンの上の方から左手で上下に動かしてみてください。力を抜いたまま右手がペンにつられて動くといいです。この時。第二関節だけ動き、手首は動かさないのが理想です。

ペンを横向きにして左手で手伝いながら左右に動かせるか試してみましょう。また、右肩の力も抜けているか確認しましょう。

それでは弓を持ち、ペンを持った時と同様左手で手伝いながら上下、左右に指を使って動かせるか試してみましょう。

それから、D線とA線を、指を使って移弦が出来るか試してみましょう。指弓はできるまでかなり時間がかかるのですが、使えると弓の使い方に幅がでてくるので、移弦や細かい動きの時などで使えるように開放弦だけで練習をしていくとよいでしょう。

それではD線に指を置いていきましょう。弓を持つ右手は人差し指で移弦の感覚が分かると良いでしょう。それに伴って指弓にトライしたり前腕のみ使い弾いていったり弓の使い方を研究していきましょう。

※今まで#が2つの二長調を弾いて来ました。ト音記号の横に#が2つ書いているのですが、ファの音とドの音に#が着いています。必然的に楽譜を読んでいく時はファとドに#が着いている事を前提に弾いてきました。この#の数でどの長調を弾いているのかが分かります。
#2つはレからはじまる明るい音階、日本語読みでニ長調(英語読みでD Major) ドイツ読みでDdur、またはシからはじまる暗い音階ロ短調(B Minor)h mollがあります。Majorとdurは長調を意味し、Minorとmollは短調を意味します。

♯は音を半音上げる事を指示しています。鍵盤を見ると分かり易いのですが右の方向にある隣の鍵盤に移動すると半音上げた音になります。ドなら、右隣の黒い鍵盤がドの♯の音になります。ミの音は右隣の白い鍵盤のファになります。♯は左からファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シと順番が決まっています。

これから臨時記号が色々と増えていきますので今のうちに覚えておくとよいでしょう。また、日本語で半音上げる♯を嬰と表現することがあります。例えばファの♯から始まる音階は嬰へ長調になります。また、クラシックではドイツ音名を使っていきますのでドイツ音名もだんだん覚えていくとよいでしょう。♯にはisをつけて表現します。例えば、ファの♯から始まる明るい音階をFisDurと表現します。

また、ドイツ音名でドをCのツェー、レをDのデー、ミをEのエー、ファをFのエフ、ソをGのゲー、ラをAのアー、シをHのハーと読みますので慣れていくと良いでしょう。ちなみに、Majorをメジャー、durをドゥア、Minorをマイナー、mollをモールと読みます。

投稿者: 松尾 沙樹

桐朋学園大学演奏学科ヴァイオリン専攻卒業。国際芸術連盟第7回JIRA全日本音楽コンクール第3位入賞、第32回国際芸術連盟新人オーディション審査員特別賞 奨励賞受賞、第20回TIAAクラシックオーディション最優秀賞受賞。F・アゴスティーニ〔イムジチ第1奏者〕マスタークラス合格、佐藤卓史指揮 ビバルディ四季 ソロをつとめる。子供~大人年齢を問わず人気の講師。